マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
「統合失調症の薬物治療ガイドライン」など、精神科領域のガイドラインの効果を検証する研究を阪大・杏林大・東京女子医科大などの研究グループが開始します。
10月から全国9カ所で21の機関・200人程度の精神科の医師が受講する予定です。研究は精神科医に対するガイドラインの講習を実施した上で、それぞれの医療機関の治療に影響があったかどうかを検証するもので、エビデンスに基づいて精神科の適切な治療の普及が進み、効果的な教育方法の開発につながることが期待されています。
阪大、杏林大、東京女子医科大などの研究グループは、「統合失調症の薬物治療ガイドライン」など、精神科領域のガイドラインの効果を検証する研究をスタートさせる。研究グループによると、精神科領域でのこうした研究の例はなく、「全く新しい試み」という。全国21の医療機関が参加する予定。【坂本朝子】
研究は、精神科医に対するガイドラインの講習を実施した上で、標準医療への準拠などを客観的に測る指標として用いられる「医療の質」(QI;Quality Indicator)を使い、それぞれの医療機関の治療に影響があったかどうかを検証する流れで行われる。
例えば、日本は諸外国と比較して、統合失調症患者への多剤投与が突出して多いが、ガイドラインの講習によって、エビデンスに基づいて推奨される単剤治療の実施率の増加が想定されるという。
研究グループの阪大大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授によると、精神科領域では、検査などで分かる客観的な診断基準がなく、ほかの医学領域と比較すると、あいまいなところが多いため、こうした研究が遅れている傾向にある。同研究を行うことで、精神科領域の適切な治療の普及が進み、効果的な教育方法の開発につながることが期待できるという。
講習は10月から全国9カ所で行う予定で、今年度中に200人程度の精神科医の受講を見込む。
出典:医療介護CBニュース